Triangle

□Triangle−Prologue−
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恥ずかしい…

恥ずかしい…っ


恥ずかしい…っっ!


知られてたんだ、私の気持ち。

気付いてたんだ。



−「俺はお前に何もしてやれねぇ」



コウ君は優しいから
私が言う前に……

望みのない告白をする前に教えてくれたんだ…


教室から校門まで一気に走ったからか、胸がバクバクして

息が詰まった。


見上げた空には星が光り始めていて…



「バンビ」

「!?…み、みよちゃん…?」

「おーホントにきた!さすがみよ」

「カレンちゃんまで…」


それに、暗いから解らなかったけれど、良く見たら二人とも私服
度帰って戻ってきたの…?


そんな私の気持ちを見透かしたように、みよちゃんが口を開いた。



「……バンビを巡る星の動きに変化があった…」

「この子からいきなり電話でさぁ。バンビが大変だからすぐ来て、だって。」

「……大丈夫…?」


みよちゃんの手がぎゅ、と私の手を包み込むと、堪えていた物が溢れ出すように頬を濡らす



始めはなんて怖そうな人だろうって思ってた


けど…

本当は、ただ、不器用なだけで


誰よりも周りを見て

誰よりも我慢をして…


誰よりも…優しくて


「っ…ぅ……ぁぁ…」

「……バンビ…」

「や、やだちょっと、泣かないでよ、バンビ…」


「っ…好き、なのに…それも…言えなかった…」


言ったら、きっとコウ君は私の前から居なくなってしまう。
今のままなら近くに居ることが出来る

けど…それは、妹として。


「…バンビ。良く聞いて…」

「っみ…よ…」

「…今は、その星も苦しんで…濁ってしまってる。本来の輝きを無くしている。……でも、大丈夫」

「え……」

「内に隠した光りは、灯ったまま。鮮やかに光り続けるから」

「……」

「よーするに!ドラゴンにタイガーは負けないってこと。ほら泣かない泣かない!」

「…要約しすぎ…」

「いいの!みよは難しくしすぎなのよ。」


「……とにかく、バンビはそのまま…強く想っていればいい。」


「え……」



好きでいて、いいの?



みよちゃんの言葉にはっとした。私、もうコウ君を好きでいちゃいけないって…


「諦めなきゃって……」


「なにいってんの!相手が何て言おうが自分の気持ちは自由でしょ?」

「そう。自由。」



二人があまりにもあっさり言うものだから、何だか力が抜けてしまった。
そっか…好きでいていいんだ。


まだ、コウ君を好きでいられるんだ…



「ありがとう、二人とも…」

「よぉし、じゃあこれからパジャマパーティーよー」

「うん。いこう、バンビ」

「…うん。」




辛いだけかもしれない。
傷つけるかもしれない

でも、まだ好きでいられるなら。


貴方が、そう望むなら…


私は続けよう。



暗く先の解らないTriangleを。






END

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