short 2
□君を祝福しています
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私の旦那様は出世街道猛ダッシュ中です
私にはよく分からないプロジェクトの責任者を任せられる事もよくあるらしくて、八時までに帰って来ない日は残業だったり会社に泊まり込んだりしているようです(浮気だったらぶちのめす)
時計の針が八時十五分を過ぎたので、今日も残業かと、作った夕ご飯を下げようとした時、旦那様が帰って来ました
「あれ、小十郎おかえり!」
「ああ、ただいま」
「遅いから残業かと思ったら違ったの?」
「…ん?まあ、な」
珍しく言葉を濁す小十郎に、何かやましい事でもあるのかとじとりと見やる。
そうすると私を見ないで寝室に入ろうとするので、慌ててスーツの右腕を掴んだ。
「何よ、どうしたの?」
「…いや、どうもしねぇよ」
そう言う小十郎は明らかに居心地が悪そうな顔をしている。
本当に何なのだろうと見ていると、観念したのか鞄以外に持っていた紙袋を差し出して来た。
「何これ」
「…服、だ」
「……は?小十郎もしかして」
小十郎は決まり悪そうな表情のまま突っ立っていて、私は急いで紙袋の中身を確かめた。
紙袋の中にはビニールの袋が入っていて、小十郎が持つには可愛らしすぎる印刷がしてある。
中には小十郎も私も絶対着られない、小さなピンク色の服が入っていた。
「…小十郎?」
「いや、帰りに見つけた店で…」
「あのね、買って来るのはしょうがないとしても、何でピンク?」
「五か月になるのにまだ性別が分からないから、それなら女だろうって猿飛が…」
「だから、何回も説明したけど早くて四か月で分かるの。だからまだ男か女かだなんて分かんなくても普通なの!」
「…悪い」
「それに、このサイズだと生まれてから半年位経たないと着られないよ」
小十郎にはトドメの一言が余程ショックだったらしい。
彼は頭が良いのでそれ位分かっているとは思うのだけれど、きっと頭で分かっていても、先走って行動してしまうのだろうと思う。
「…小十郎」
「………」
「怒ってないよ」
「…悪かった、今度から相談する」
「うん」
小十郎の可愛い一面が見られるので、これはこれで嬉しかっりするのでした