マウンドのてっぺんで
□Chapter 2.
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倉岡 渚。
わたしが中学最後の大会で夢中になった、最高のストレートを持つ、左腕のピッチャー。
その、倉岡と同じ聖タチバナ学園で、一緒のチームで、バッテリーを組めると知った時には、嬉しさしかなかった。
あの、凄い球を、自分のこのミットで、受けられる。
それは15年の人生で、一番嬉しかった出来事であり、何よりも、倉岡に信頼させるという、目標があった。
絶対に信頼させるんだ、と。
最高のピッチャーの、最高のパートナーになるように、と。
それを目指しているからこそ、頑張れる。
部活では、やはり倉岡がずば抜けていた。
練習試合では、5試合に先発して、いずれも完封勝ち。
打撃の方でも天才だった倉岡は、本塁打を3本打った。
天才・倉岡を擁し、特に不安要素の無いまま、聖タチバナは夏季甲子園大会の地区予選へ、向かう。