マウンドのてっぺんで

□Chapter 5.
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 県大会初戦の惨敗から1週間。
 それは部活に、渚が向かわなくなったのと同じ期間だった。
 聖は溜め息を吐きノートを机の中に仕舞い、椅子から立ち上がって教室を出る。向かうのは、2つ隣の1年7組。



 ――渚の、クラス。







 「あ、六道さん。」


 ドアの前に立つと、直ぐ近くの席からチームメートの中川が話し掛けてくる。
 中川もまた、あの日から様子がおかしい渚を心配している。
 中川は聖を見つけた時は顔が若干綻んだが、直ぐに首をふるふると横に振る。それだけで、聖には何なのか理解出来た。



 「…また、授業が終わって直ぐにどこか行っちゃったよ。」

 「……そう、か。」



 そう。渚は授業後の休み時間、人を避けるかのようにどこかへと消えるのだ。
 野球部員は完全に避けられ、クラスメートですら、まともに話せていない。
 少し話をしたい聖からしたら、とても困る事態以外の何物でも無い。
 中川に礼を言い、とりあえずこの1週間で唯一残した探し場所へ、向かうことにした。
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