小説(SKET DANCE)
□優しく手をつないでー後編ー
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「つか、なんでそんな溢してんだよ。子供か」
「ちゃうわ、これはモモカが…」
(『ボス男とどこまでしたの?』)
笑いながら言うボッスンに、反論しかけたヒメコは先ほどのモモカとのやりとりを思いだし赤面する。
そんな様子に気づかず、ボッスンはヒメコの手を引きながらズンズン進む。
「そういや、モモカ今日きてるんだっけ」
「…うん」
「こないだのドラマ良かったよなぁ〜」
他愛ない会話が続く。
(…気にしてるんはアタシだけなんかな)
ヒメコは繋いだ手をギュッと握り返した。
―…
「おーっす、チュウさーん」
ガラッ
「ぅおっと…ん?ボッスンか、どうした?」
ボッスンが勢いよく科学準備室のドアをあけると、ちょうど部屋を出ようとしたチュウさんが驚いた声をあげた。
「あー、えっと、シミ抜きとかある?」
「シミ抜きぃ?」
「チュウさん、アタシがコーラこぼしてもうて…」
「おぉ、こりゃひでぇな、ちょっと待ってろ」
チュウさんはヒメコを見ると、部屋の奥から“シミ抜き”とシールの貼られた霧吹きを持ってきた。
「こりゃ試作品だが服を着たままでも大丈夫だから」
「ありがとな、チュウさん」
「あぁ、じゃあ後よろしくな」
「え?」
チャリ
チュウさんがボッスンに準備室の鍵を渡す。
「今から職員会議で終わったらすぐ帰んなきゃなんねーから、鍵は職員室にな」
「え!あ…もう行っちゃった」
「ホンマ、テキトーやな」
言うが早いかチュウさんはさっさと部屋を出ていった。