小説(SKET DANCE)

□月明かりの下で
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キーンコーン…


夕方のチャイムが鳴り、部活帰りの生徒たちがざわざわと校舎を出ていく。


そこに―…


帰宅する生徒達とは別方向の生徒会室へ向かうヒメコの姿があった。


コンコン


遠慮がちにノックをし、ヒメコは生徒会室のドアを開けた。


「ん?なんだ鬼塚、どうしたんだ?」


生徒会室には帰り支度をする佐介1人だけがいた。


「椿か、…加藤は?」
「まだ書記の仕事で資料室に行っているぞ」
「そか…じゃあ、えーわ」


踵を返すヒメコに佐介が声をかける。


「鬼塚」
「…?」
「この前の件で加藤に話があるんじゃないのか」
「!」


ヒメコは驚いた表情で佐介の方を振り返る。察しのいいところは兄譲りなのだろう。


「すぐ戻るだろうからそこに座って待てばいい」
「いや、でも」
「伝えたいことは言わないと後悔するぞ」


佐介のまっすぐな瞳にヒメコはうつ向きながら頷いた。


「…ありがとな…椿」
「あぁ。じゃあボクは帰るから」


そう言うと佐介は片手をあげて去っていった。



―…この前の事件

ヒメコは自分がきっかけとなり引き金を引いた轡先生の拉致事件のことを希里に詫びきていた。


(結局アタシはアイツを救うどころか、引き金になってもうたんやな…)


ヒメコはため息をつきながらソファに膝を抱えて座り、顔を埋めた。



―…数分経ち

廊下から聞こえてくる足音にヒメコは顔をあげた。



ガラ…


「!」
「加藤…」


希里はヒメコの姿に驚いた顔を見せた。
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