小説(SKET DANCE)
□多感なお年頃ーボッスン編ー
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「じゃあ、行ってくるから戸締まりちゃんとしてね」
「あぁ、気をつけてな」
旅行カバンを片手に家を出る茜とルミを、ボッスンはひらひらと手を振りながら見送った。
知り合いから温泉旅館のペアチケットを譲ってもらったらしく、今日から一泊で女二人の小旅行に出掛けるのだ。
バタン…
「ふぁ〜」
(やっとウルセー奴らがいなくなった…)
ドアを閉め、大きく伸びをしながらリビングに戻ると、見計らったかのようにボッスンの携帯が鳴った。
「ん、ルミ?」
「お兄ちゃん」
「どーした?忘れ物か?」
「ううん、違う。さっきはお母さんがいたから言えなかったんだけど…」
「?」
「あたし達がいないからって、家でヒメコちゃんにエッチなことしちゃダメだよ!」
「なっ…!」
「ふふん♪じゃあねぇ」
「余計なお世話だっつーの!」
ボッスンの叫びも空しく携帯からはツーッツーッと、切電音だけが響いていた。
「くっ…ルミの奴…」
(ヒメコにエッチなこと…)
「んなコトしねーっつの…」
ドサッ…
体中がカーッと熱くなるのを感じながらソファに倒れ込み、ブツブツつぶやいていると再び携帯が鳴った。
「!」
着信表示を見て心拍数があがる。
「…ヒ、ヒメコか」
「うん、アンタん家もうすぐ着くで」
「お…ぉふっ」
「ぶは、何なん?マヌケな声だして」
「いや…」
「着いたら直接あがってええの?」
「え、あー…そうしてくれよ」
「はーい、ほなな」
(おおお落ち着け俺…)
今日から家に1人きりのため、何の気なしにヒメコを呼んでいたボッスンは、小刻みに脈打つ胸をおさえ深呼吸を繰り返す。
スーハー…
静かに目を閉じる。
「…よしっ!大丈夫、だ…」
ーピンポーン
ドキィッ
ドアホンが鳴り、一際大きく脈打つ心音。
(た、たかがヒメコが遊びに来ただけなんだし…)
ガチャ
(落ち着け…お…)
「…」
「…ボッスン?」
ドアを開けた瞬間、ボッスンは顔を赤らめ固まった。