小説(SKET DANCE)

□ファーストキスは田楽味
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「一愛」
「ん?」 

振り返ったアタシの口からペロキャンを引き抜き、自分の口に運ぶ希里。


パクリ。


「なっ!?」
「ん、ナス田楽味か。まぁまぁだな」
「せやろ〜ナス田楽味はイチ押しやねん…って、いやいやいや、待てぃ!」
「?」
「『?』やないやろ!そ、その、えと…」


しどろもどろになってるアタシを見ても『?』顔のままの希里。

たぶん顔真っ赤になっとるんちゃうかな、アタシ。


「か…、間接キスやんか」


やっとの思いで出た言葉も虚しく


「あぁ、別にオレは気にしないけど」


と、飄々と答える希里。

アンタが気にせんでもアタシが気にするっちゅうねん!この、鈍感男は…全然乙女心をわかっとらんな!

さらに文句を言いかけた瞬間


「直接キスしてやろうか」
「へっ?」


言うが早いか希里はアタシの顎を上に向かせて


ちゅ。


唇に柔らかい感触があり、目の前には希里の綺麗な顔があった。


「…」
「一愛?」


え?えぇっ?!今のって…ほんまのキス!


「ア、アタシ…ファーストキスやったのに」


ファーストキスって言ったらもっとムーディにするもんちゃうん!?


「ファーストキスがナス田楽味なんて他にいねぇだろうな」


希里がふっと笑う。

ほのかに頬が赤い希里のその笑顔が妙にかわいくて出かけた文句も何も言えなくなる。

ずるいわ、コイツ。


「…もっかい」
「ん?」
「もっかいちゃんとしてや」


ちょっと潤んだ瞳でめいっぱい希里をみた。アタシの頬に添えられる大きな手。

今度はちゃんと、さっきよりも長いキスをした。
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