小説(SKET DANCE)

□ヤキモチ
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「そんでなぁ、すごいんやで!」
「あっというまにやっつけてな…」
「アタシより強い男がおるんもんなんやね〜」


いつも通り楽しそうに喋るヒメコに対し、いつもとは違い不機嫌そうに黙っているボッスン。

さっきからヒメコの話は忍者の末裔だという1年生の加藤希里のことばかり。
先日の覗き事件での“彼”の言動が気に入らなかったボッスンとしては、ヒメコが楽しそうに“彼”について話す様子が妙に腹立たしかった。

しかし、ヒメコはいたって悪気なく楽しそうに喋っているから、ただただ黙っているしかない。


「ボッスン!アタシの話聞いとるん?」
「聞いてねぇ」


あっさりと否定されたヒメコは一瞬ビックリするものの、すぐに怒りがこみ上げボッスンに突っかかる。


「なんやねん!人がせっかく話してるのに!」
「聞きたくねぇ」
「はぁ?…なんでや…っ!?」

ヒメコがいつものように殴りかかろうとするが、ボッスンが先に彼女の腕をつかむ。


「お前、最近仲いいんだな。アイツと」
「…?!」


唐突な問いかけにヒメコは抵抗することを忘れボッスンを見る。


「まぁ、見かけたら話す位やけど…」
「気になるのか?」
「…あれや、忍者の末裔っていったら気になるやろ」
「オレが聞きたいのは男としてってことだ」


真剣に見つめてくるボッスンから目が離せず、ヒメコは顔に熱がこもるのを感じた。


「そんなん、わからへんよ。何でそんなこと聞くん?」
「…。わかんねーけど。お前がアイツの話を楽しそうにするのが気にいらねぇ」
「ボッスン…」


平和主義のボッスンが『誰かを気に入らない』と言うのは珍しい。


「…」
「…」


ボッスンはヒメコの腕を離すと、どさっとソファに座りこんだ。
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