小説(SKET DANCE)
□キミの温もりー前編ー
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「はぁ〜…」
(なんや体だるいな…、昨日カラオケでめっちゃ騒いで汗かいたから風邪引いたんかな…)
足どり重く、ヒメコは部室に向かう。
ガラ…。
「お疲れさ〜ん」
ヒメコの言葉に返事はなく、しんと静まり返る部室。
「誰もいないんか…」
ヒメコは気が抜けたように電気もつけず部屋に入り、そのままソファに横になった。
(しばらく寝てよ…)
熱で重いまぶたを閉じる。
******
しばらくすると、ボッスンが鼻歌まじりに部室に入ってきた。
ガララ…。
「ふんふ〜ん♪ボッスン登場〜ぉ…ってあれ?誰もいない?」
薄暗い部室を見回しボッスンが電気をつけると、ソファの方から小さなうめき声が聞こえた。
「うぅ…ん」
「!?」
「…ま」
「??」
恐る恐るソファをのぞいてみると、ヒメコがまぶしそうに睨んでいた。
「ま…ぶしぃ…ゎ…ボケェ…」
「おゎ!びっくりしたヒメコか!電気くらい…ってどうした?」
いつもと様子が違うヒメコの顔を心配そうにみる。
「めっちゃだるくて…ちょっと寝てたんやけど…アカン。なんか熱い」
息も荒く、辛そうに答えるヒメコ。
「熱か?」
「めっちゃだるいわ…」
「かなりやべーんじゃねぇか?顔すげー赤いし。今日はもう帰れよ」
「すまん…そうさせてもらうわ」
ヒメコがゆっくりと体を起こすと、
「よし、じゃあ行くぞ、ほれ!」
おもむろにボッスンが自分の肩に乗っかるよう手招きをした。
「!?なっ、じ…自分で歩けるわ///」
ヒメコはさらに顔を蒸気させ勢いよく立ち上がった…が、思ったよりも体が重くフラついてしまう。
「っ…」
「ほら、そんなん見てらんねーよ。いいから乗れって」
「でも…アタシ重いし」
「おめーなんてそんな重くねーから」
「きゃ!」
ぐいっ。
ボッスンは渋るヒメコの腕をひっぱり無理矢理おぶると抵抗できないようすぐに立ち上がった。
「ほら鞄だけ持ってくれ」
「…うん」
ヒメコは弱々しく返事をすると恥ずかしそうにボッスンの背中に顔を埋めた。
(…ボッスンの背中、意外と大きいんやな)
歩き出すボッスンの背中にゆられながら、心地好い人肌の温もりにいつの間にかヒメコはまた眠ってしまった。