小説(SKET DANCE)
□キミの温もりー後編ー
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ガチャ
家に入ると、玄関には家族写真が沢山飾られていた。
その1つがボッスンの目にとまる。優しそうなお父さんと綺麗なお母さんとの間で満面の笑みを浮かべる黒髪の愛らしい少女。
(昔のヒメコか…)
「そんな見んなや」
「へっ?いや、これお前かなぁって思って」
「他に誰がおんねん」
「ふーん」
まぢまぢと今のヒメコと見比べる。
「化粧濃くなったな」
「…っ。怒る気力もないわ、アホ」
ヒメコがフラフラと玄関をあがるのを見てボッスンも慌てて靴を脱いだ。
「お邪魔しま〜す」
「はいはいどうぞ。鞄とかテキトーに置いてな」
「おぉ。ヒメコ、キッチン借りていいか?」
「えーけど?」
「なんか温ったけー飲み物作ってやるから、部屋で着替えて寝てろよ」
「…。わかった、ありがとうな。アタシの部屋は二階の奥やから。」
ボッスンがキッチンに向かうのを見て、ヒメコは2階へあがって行った。
*****
(…)
汗を拭き、着替えを済ませて布団に入ったヒメコは、ふと今の状況について冷静に考える。
(なんやアタシ…めっちゃ恥ずかしない?)
家に親がいないという理由で、親しい仲とはいえ年頃の男子を家に招き入れた自分。
(めっちゃ誘ってるみたいやん!いややー!)
恥ずかしさと熱とで顔を蒸気させたままヒメコは布団を頭からかぶった。
トントントン…
ボッスンが階段をあがってくる音とともにヒメコの心拍数もあがって行った。
「おーい、ヒメコ!開けていいか?」
「お…おぅ」