小説(SKET DANCE)

□恋せよ、少年少女ー前編ー
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「じゃあね〜」
「おつかれ〜」


放課後。
日も傾き、部活帰りの生徒達の声も次第に少なくなってゆく頃。


「はぁ…」
「ため息つくなよ!悲しくなるだろっ」


体育館内にある半地下の倉庫に大きなため息をつくヒメコと今にも泣き出しそうなボッスンの姿があった。


事の始まりは、久しぶりのスケット要請。


『好きな子に告白したいからチャンスを作ってくれ』という男子からの恋愛相談で、相手の女子を人気のない体育館裏へうまく誘い出すという寸法。


仕掛けをいくつも張り、ボッスンとヒメコはちょうど体育館裏がこっそりとのぞける地下倉庫にもぐりこみ、地面すれすれの小窓から2人の動向を伺っていたのだ。


そして…。


当本人たちの恋愛駆け引きが思ったよりも長く数時間が経過。

無事にカップル成立し、2人が去るまで見守った後さぁ帰ろうかと扉に向かった時…


「帰ろか」
「あぁ…ん?!」
「どしたん、はよ開けてや」
「!???」


ガタガタタンッ


ボッスンがいくら動かしても扉が開かない。


「開かない…」


フルフルと肩を震わせ情けない顔でヒメコを見る。


「はァ?まじか?!ちょっどきぃ」


ヒメコが力いっぱい扉を引っ張っても外からカギをかかっているようで全く開かない。


「えっ?ヒ…ヒメ姉さん、どうにか蹴破れませんかね??」
「テンパり顔すな!こんな鉄の扉さすがに無理やろ」
「ええええ!」


ボッスンがその場にへたり込む。


「とりあえず叫ぶで!おぉーい!開けてやぁー」
「開けてくれー!頼むー!」


力いっぱいの叫びも虚しく2人の声は全く外には聞こえていないようだった。さらに、こんな時に限って携帯は部室に置いてきたカバンの中。


「誰かァー!
「クッ…今日は5時から仮面ロイダーがあるんだァー!」
「アンタまだそんなん見とるんか!」
「悪いかよ!」


後半は訳のわからない叫びになりつつ、やはり誰の耳にも届いてにないようで助けは来ないまま時間だけが過ぎて行った。
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