小説(SKET DANCE)

□灰色の虹
1ページ/3ページ


ザァー


降りしきる雨がアスファルトを激しく叩く音に、希里は目を覚ます。

ゆっくりと体を起こすと、カーテンの隙間からは雨雲で覆われた灰色の空が見えた。


(俺の心ん中みたいだな…)


ふと視線を落とすと、隣には静かな寝息を立てるヒメコの姿。頬にはうっすらと涙の跡がある。

希里は指でそっとヒメコの頬をなでた。


(目を覚ましたら…コイツはどんな顔をするんだろうか)



ー…昨晩。

ヒメコが希里の家へやってきた。


『コイツを助けたい』
そう決思ってから、ヒメコは事あるごとに希里に絡み、昼時間も一緒に過ごすようになった。

ある時、いつも菓子パンしか食べない希里を見かねたヒメコが『夕飯作ったる』と宣言。後日、家に押しかけたのだ。


「案外きれいにしとるやん」
「まぁな」


食事を終え、洗い物を済ませたヒメコが希里の隣に座る。


「ボッスンの部屋なんてもっと汚かったで」
「…」


ポツ…ポツ

ザァー


「!」


急に降り出した雨音に驚き、ヒメコは窓から外を見る。


「うわ…ごっつ降ってきた、いきなりやな」


ヒメコが希里を見ると、希里は真剣な表情でヒメコを見つめていた。


「どしたん?」
「あの男と仲いいのな…」
「ボッスン?」
「付き合ってんのか」


希里の直球な質問に目を丸くし、頬を赤く染めながらヒメコは慌てて否定する。


「ち、違うわ!んなわけあるかい」
「仲良すぎだろ、そう見える」
「ホンマ違うって。ただ…」
「…」


ヒメコが遠くを見つめながら笑って話す。


「アタシはアイツに感謝してる」
「…なんでだ?」
「アタシが独りやった時アイツはずっと側にいてくれた」
「…」
「アイツに救われたんだ。だから…」
「…だから?」


ヒメコはハッとして希里を見る。


ガシッ


希里はヒメコの腕を強く掴んだ。


「っ!」
「だから?アンタは俺の側にいんのか?」
「希里…」


チッと舌打ちをすると希里はヒメコの腕をグイっと引っ張る。

「きゃ」


ドサ…


希里がヒメコをベットに押し倒す。


「俺が寂しそうに見えたのか?」
「ちょ…」


ヒメコが抵抗するも全く抗えないほど強く組み敷かれる。


「なら…」
「…やっ」


希里の舌がヒメコの首筋をなぞる。


「アンタが寂しさを忘れさせてくれよ」
「!!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ