小説(SKET DANCE)
□優しく手をつないでー前編ー
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昼下がりの部室。
「元気そうでよかったわぁ」
「姐さんはちょっと痩せたんじゃない?」
「えーホンマぁ?モモカはまた可愛なったなぁ」
久しぶりオフで遊びに来たモモカとヒメコは、お互いの近況などの話に花を咲かせていた。
「…ってか、アイツ等遅いな」
「確かにもう1時間位経ってるねぇ」
「どこで道草食っとんやろか…」
ハァっと大袈裟なため息をつくヒメコを見て、モモカが思い付いたように話し出す。
「…で、姐さんってさ」
「ん?」
「ボス男とどこまでしたの?」
「ぶっ」
「わぁっ大丈夫かい!?姐さんっ」
モモカの唐突な質問にヒメコは思わず飲んでたコーラを噴き出した。
「ちょ、イキナリ変な質問すんなや…」
「ご…ごめんよ、姐さん」
白いブラウス見事に茶色く染まり、モモカが慌てて拭いていると、ガラリとドアが開きスイッチがやってきた。
『コンニチワヮ…って、どうしたんだ?ヒメコ』
「スイッチ!遅かったやん。ちょっと…とりあえずコレ洗ってくるわ」
「じゃあ、アタイも…」
「あ〜えぇってモモカは久しぶりに来たんやからスイッチと喋ってたらえーわ」
「で、でも」
「いいからいいから」
モモカの肩をおさえソファに座らせると、ヒメコは足早に部室を後にした。
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(うわ、めっちゃシミ広がってるわ〜)
ヒメコは歩きながらブラウスを確認する。
(モモカが変な質問するからな…)
ヒメコは先ほどのやりとりを思い出し1人赤面する。
ボッスンと付き合うことになってから早2ヶ月。
それまではモモカにも色んなことを相談していたので、当然といえば当然の質問だった。
ヒメコが動揺したのは、先週末のデートでそれなりの関係になったばかりだったから。
(あれから…ボッスンとは恥ずかしくてまともに話せてないな)
悶々と考えながら歩いていると後ろから声をかけられた。
「おーぃ、ヒメコ?」
「!」
(この声は…)
「…ボッスン」
ヒメコはおそるおそる振り返る。
「よぉっ…て、うわ!どうしたんだソレ」
「えと…いや、ちょっとコーラこぼしてん」
「ちょっとって…シミんなってんじゃねぇか?」
「そ、そうかもな」
「他人事だなオイ…。あ、チュウさんとこに染み抜きとかあんじゃね?」
言うが早いかボッスンはヒメコの手をとり歩きだした。