小説(その他)
□love〜Destiny〜
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―ずっと1人で生きてきた。
自分以外の誰かと安らかな時を過ごすなんて無縁だと思ってい
た。―
ここはWGPメンバーが寄宿する施設の裏にある公園。公園といってもほとんど手入れはされていないようで遊具もない。あるのは古びたベンチだけという人気のない静かな場所。
そんな場所を好んでたびたび姿を現すようになった人物。
左目の下に自身を象徴するような稲妻がトレードマークの少年
―イタリアチームリーダーーカルロ・セレーニ
その横には、この場所にはあまり似つかわしくない麗しい少女
―北欧オーディンズ―ジャネット・ストゥルソンがいた。
2人は週に一度の休暇日にこの場所で会うようになっていた。
というよりかは、元々はこの場所を好んで来ていたカルロを訪ねて彼女が来るようになったのだ。
自身の手作りのお菓子を持って。
「今日の午後は雨だそうよ、ちょっと曇ってきたわね」
「あぁ」
(たしかに一雨きそうだな…)
そう思いながらカルロは端的に返事をする。
「せっかくのお休みなのにお出かけできなくなっちゃうわ」
「そうだな」
いつもなら昼すぎくらいにはジャネットが「じゃあまた来週ねv」とほかのチームの女どもと街に出かける。俺は待ち合わせまでの
暇つぶし。
「…ねぇ」
「?」
「あなたの部屋でお茶しない?」
「!?」
唐突なジャネットの提案にカルロは驚く。
「…お前、用事ねぇのか?」
「今日は、みんなデートだかなんだとか。久しぶりに1人なの、ねv」
ようは暇つぶしが延長されるってことか。
カルロはため息をつく。
「美味しい紅茶もあるのv行きましょv」
「ちょっと待て、まだ決まったわけじゃ…」
「アタシの部屋、今日はマルガレータが占領してドールハウス作ってるのよ」
「だからって…」
「これ、食べたくない?」
ジャネットがバスケットをあけるとふわっと美味しそうな甘い香りが漂い、カルロが思わずそこへ視線を向けると…
「じゃ、決まりねv」
ニコっと笑いながら翡翠の瞳でウィンクをする。
この顔をしたときのジャネットにカルロはかなわない。恐らく指摘をされても彼は認めないが事実そうなのだ。