小説(その他)
□お昼寝しよう
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『ねぇ、シェゾ?』
『んー?』
魔導書に目をむけながらシェゾは返事をする。
どうやら、読書をする時には眼鏡をするのが彼のポリシーらしく、消して目は悪くないのだが、ふちなしの眼鏡をかけている。
整ったシェゾの顔に眼鏡はよく似合っていて、ドキッとする位いつになく真面目に見える。(失礼)
((やっぱりシェゾってかっこいいんだなぁ…))
そんな事を思いながら、アルルは読書をするシェゾを見つめていた。
…のだが、
さすがにちっとも相手にしてくれないのでつまらなくなったらしい。
そして耐えきれずにシェゾに話し掛けたのだ。
とはいえ話し掛けてみたものの話す内容が見当たらない…
『何だ?』
シェゾが顔をあげてたずねる。
『あ、えと…何でもないや。ごめんね。』
えへへっといたずらっぽくアルルは笑った。
『お前なぁ…』
パタン
『ふぅ…』
読書をするのをやめたのか、諦めたのかシェゾは本をとじた。
一方アルルはかまってもらえると、目を輝かせてシェゾを見つめた。
『寝る。』
『えぇー!?』
言うが早いか、シェゾはさっさと横になって寝てしまった。
『シェゾぉ〜…』
((もう全っ然乙女心というものを解ってないよねこの人。))
((何でこんなの好きなんだろボク…。))
窓の隙間からそよそよと気持ちのいい風がはいり、シェゾの透通る銀髪をさらさらと揺らした。
その髪をなでながら
『シェゾなんかキライだよーだ。ばーか』
すねた調子でアルルはぶつくさ言う。
さらに文句を言いかけたその時、
『うるさい』
『!!』
突然アルルは腕をひっぱられ、バランスをくずしてシェゾの上に倒れこんだ。そしてそのままシェゾの腕の中に引き込まれた。
『ちょっ!!何すんのさ!』
腕の中でもがいてみるものの、やはり力の差にはかなわない。
『しばらく抱きまくらになってろ…』
『へっ!?』
『じゃオヤスミ。』
それだけ言うと、またシェゾはすやすやと眠ってしまった。
『何々だよ、もう…』
((どうしてこう…ガサツで、乱暴で、))
((ちっともかまってくれないし、すぐ怒るし))
((何でこんなの…))
((何でこんなに…))
・・・
『好きなんだろなぁ…?』