□C
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自分の手を忌ま忌ましく思った。
壊すことしか許されないこの両手を。

だから壊した。自分が辛くないように。
そして今もその途中。

足元にいる兄弟機を見回す。

みんな脆い。脆すぎる。

オレが本気になってしまえばこんなにも簡単に壊れてしまう。

ある機体がゆっくりと起き上がり、痛そうに呻きをあげる。

はや歩きでその機体へ近づく。


「まだ、うごくの…メタル」

「クラッシュ…」

「旧式が新型に敵うはずないじゃん。」

「わかっているさ、」


なら、なんで、
そう言おうと口を開こうとしたがやめた。
やめたと言うか、勝手に閉じた。

メタルが慈しむように俺の腕に触れて撫でる。

息が、詰まった。


「…そうだな、辛いよな」

「っ!!テメェに何がわかんだよ!このジャンク!」


違うそんなことを言いたいんじゃない。

でも今のオレは全て怒りにかわってしまう。
もう今更戻れやしない。なら、全てを壊してしまえばいい。
オレはCrashmanだ。壊すことがオレなんだ。

腕を振り上げメタルに目掛け、振り下ろそうとした。

その時、目を疑った。

次の瞬間、メタルを貫いた感触がアームにひろがった


「…メタル?」


目から水が溢れ出す。
悲しくない。悲しくなんかない。


「う…ぁあああああああッ!!」


なんてことをした。
腕を振り下ろす瞬間、メタルは両手を広げてオレに笑みを向けてくれた。
それには慈愛しか感じられない笑顔。

メタルはどんな俺も受け止めて、愛そうとしてくれたのに


「うぅ…、っ、めた…めたる…」


もう、彼は鉄の塊でしかない。


「起きてよ…ねぇっ…」


壊すだけの腕のなかに鉄の塊を抱きかかえた。




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