さん

□BLM
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その日を境にその男はよく俺のもとへ姿を現すようになった


「また来たのか、」

「また来たよ」

「…何をするでも無い、話にくるでも無い、一体何しに来ているんだ貴様は」

「メタルに会いに、」

「っ、…阿呆らしい」


この男はよくそんな台詞を恥ずかしげもなく吐く。

その台詞に動揺する自分が一番阿呆らしい。
口先だけだ、なんとでも言えるじゃないか。


「俺はいたって真面目にいっているんだがな?」

「そうかそれはすまなかったな」

「冷たいな」


この男はよく喉を鳴らして笑う。
不快なわけではない、懐かしいのだ


「…誰かに似ているのかも、知れないな」

「何がだ」

「こっちの話だ。」


溜息をついて窓を眺める。
これは癖なんだろう、暇さえあれば窓を見てしまう。
景色を見てるわけではない

何をみているのか…


「ああ、そうだ。いい手土産がある」

「…手土産?」

「これだよ、」


豪快に音をたて机の上に置かれたそれを見る

瓶に入ったそれは


「酒か…」

「なかなかの代物だ、一杯どうだ?」

「…グラスを出してこよう、他に欲しいものは?」

「つまみ」


にこりと笑むその男に、少しばかりコアが跳ねた気がした。




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