よん

□F
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頭が割れそう
つか割れてると思う

右アームはどっか吹っ飛んでないし、
フットパーツは所々断線して動かない。

なんつーか


「万事休す?」


自嘲気味に笑って何気なく視線を下にさげた


「…え」


言葉が出なかった
メタルがまるで俺を守るみたいに被さっていて、
最早原形をとどめておらず、たぶんあの特有な聴覚センサがなかったらメタルかどうかなんてわかんなかっただろう。

甲装はドロドロに溶けて、下半身はぶっ飛んでぐしゃぐしゃ。
アームは今にもとれそうだ。
しっかり残っているのは眠っているような横顔だけ
そんでその横には黄色いアームがメタルの肩を掴んでいる
多分、エアーのだろう。
メタル周辺に青が散らばっているのを見るに粉々になったのだろうか、
メタルを守ろうとしたんだろう。


「やべぇな…これ…」


左を見る
見慣れたドリルアームが瓦礫から出て来た


「よお、クラッシュ。生きてたか、」

「どうやら耐えられたようだ。
お前は起動可能でも動けないのか」

「あいにく断線しやがってね
こりゃ基地に信号送るしかねぇな"作戦は成功したが地獄だ"ってな」

「…エアーとメタルは」

「この様だぜ」

「…そうか」


珍しく辛そうに目を逸らす
そりゃそうか、ここまでぐちゃぐちゃになってりゃ誰だって逸らすわな


「今から基地に信号を送る」

「頼んだ」

「回収可能なのは…」

「俺、…だけだな」

「認識した…」


他のやつらがきいたら酷いだの何だの勝手なことを言うだろう
だが、仕方ないんだ。

だってチップが焼けた、ただの鉄屑を持ち帰ったって仕方ないだろ?


「今からクイックがこっちに向かうぞ」

「そうか」


それにあの二人は"戦闘機"としての指命をまっとうしたわけだ

なのに


「悲しくなんのはなんでだろうな…」


涙が流れてしまわないように上を向くけど、
何の意味もなさなかった。




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