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□Happy Happy Birthday!
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ガチャリ。
家の鍵がしまると、臨也はどこか落ち着かないのかそわそわし始めた。
「どうした?コート脱げよ」
何気ない一言のはずだったのに、臨也がびくりと反応する。
「え?!ちょ、シズちゃん、気が早過ぎない?!」
「………(呆れた目)」
「すみません」
「まぁ、俺も手前が良けりゃあ…」
咄嗟にからかってしまったが、正直嫌なわけではない、断じて。
するり、と細い体に腕を回して引寄せた時だった。
「ちょっと待った」
上目遣い、おまけに艶やかな声でそう囁かれて、ドキッとしながらも仕方なく動きを止める。
「俺、先にしたい事があるんだよね」
「?」
素早く腕から抜けた臨也は棚からピンクの包装紙に包まれた箱を出した。
「はいっ!プレゼント」
「プレゼント…?」
「うん。誕生日おめでとう、シズちゃん」
「……あ、あぁ」
すっかり忘れてた。
なのにこいつはちゃんと憶えていてくれたんだな。
嬉しくて、嬉しくてそれと同時に無邪気に微笑む臨也を改めて愛しいと思った。
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