DRRR
□確かなことは
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「僕がいるじゃないですか」
拗ねたように青葉は呟き、帝人の手を引く。
「紀田正臣なんていいでしょう。もう先輩には、僕がいます。ね?そうでしょう?」
「悪いけど、青葉君と正臣じゃ比べものにならないよ」
穏やかに帝人は微笑み、しかしその笑顔とは裏腹な突き放すような厳しさで青葉の手を払いのける。
「もし、君達が同時に危ない目にあったなら、僕は迷わず正臣を助ける」
「どこがいいんですか。あんな臆病者」
「そうだな……しいて言えば、その臆病さを自覚していて、怯えてるところかな」
ますます青葉の顔は歪んでいく。その表情にはあからさまな嫉妬が燻っていた。帝人の目は青葉を見ていない。今この場にはいない、記憶の中の親友を見ていた。
忌々しげに、青葉は尋ねる。
「好きなんですか?」
「好きだよ」
「友情、なんですかそれは?」
「……何だったんだろう?」
何故か帝人は、呆然としたような表情で逆に青葉に問いかけるような言葉を発する。まるでそこに答えがあると信じているように、青い青い空を仰いだ。
「正直、友情と呼ぶには、生々しい気がしてるんだ。じゃあ何なんだろう?」
「知りませんよ、そんなこと」
「何拗ねてるの」
「拗ねてません」
わざと子供のように意地を張ってみる青葉。一見その素振りは無邪気で意地っ張りな子供を思わせたが、青葉の腹の底に渦巻く感情こそ生々しかった。
心底気になるけど、心底どうでもいい!とにかくそれが恋情でないなら、何でもいい!万々歳だ!