毛探偵
□報われなかった恋、報われた想い
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料理や酒の匂いがたちこめる居酒屋で、荻野には洋だけが鮮明に見えた。
コイツは、こんな顔をするような奴だっただろうか。
洋は笑っていた。確かに柔らかく微笑んでいるのに、荻野には何故か堪らなく切なく見える。荻野は洋の顔から目が離せなかった。
「お前さ、気付かなかったろ」
赤ら顔でかなり酔っているはずだが、はっきりとした口調で洋は言った。
「俺が、お前の事好きだって、知らなかっただろ」
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