屋上テリトリー

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「…なあ、」


昼休みの屋上。

風と街と校舎からの小さな音しか
聞こえないはずの静かな屋上で
突然発された男子特有の低い声に
驚いて顔を上げると、
いつもは柵に寄り掛かり
本を読んでいる彼が
私達を順番に見ながら、また
「なあ」と言った。
さっきの声は彼のものだったらしい。
初めて聞いた彼の声に、
心臓がどきん、と大きく波打った。

突然の声に驚いたのは
私だけじゃなかったらしく、
他の3人も、顔を上げて
声の発信源を見つめている。


「…俺、1年の岡田准一。
 みんなは?」


一度、この5人で話をしてみたかった。
この4人となら、私だって
友達になれるんじゃないかって。
そう思っていたのは私だけじゃ
なかったと知って、泣きたいくらい
嬉しさが込み上げてくる。


「俺ら、いつも屋上集まんのに
 一度も口きいたことないやろ。
 友達とかやないかもしれんけど…
 その、一回くらいは、話そうや。
 みんなで」

「っ、私は、」


思い切って声を張り上げると、
4人の視線が一斉に私に集まった。

おかだくん、と名乗った彼、
いかにもガラが悪い金髪頭の彼、
優しそうな目をした彼、
高校生とは思えない童顔な彼。

こうしてちゃんと顔を見るのは
初めてな彼らを見ながら、
大きく息を吸い込んだ。


「…私の名前はね、」





はじめのいっぽ
(菜奈美です、***菜奈美!)
(あ、俺は…井ノ原。井ノ原快彦)
(三宅健、です)
(…森田剛)
(((((…よろしく。)))))









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