短編
□同じ夢を、一緒に見る方法
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「准一…起きてる?」
「…おきてる」
多分寝ていたであろう准一が目をつぶったままボソッと言った。
毛布をもう少し上までかけてあげると、「ありがとう」と少し微笑む。
「菜奈美、眠れないん?」
「うん…」
「そか」
頭を撫でて、ぎゅっと私を抱きしめてくれた准一の腕は、少し力が入っている気がした。
彼の胸元にそっとキスを落とす。
すると、“仕返しだ”と言わんばかりに私の額や髪に唇を触れさせた。
「ちょっと准一、くすぐったいよ…」
「ん…」
髪、額、目尻、頬、鼻、顎…とキスの雨がそそがれ、真っ直ぐな淡い瞳と目が合ったと思ったら唇にキスされた。
そのキスはどんどん深くなり、頭がぼーっとしてくる。
柔らかい感触と優しい彼の匂いに溶けてしまいそうだ。
「…あのさ、」
ほんの数センチだけ私から離れた准一が、寂しげに微笑んで言った。
「キスしたまま眠ったら、おんなじ夢見れるかな」
「…ばかじゃないの」
ふふ、と笑った准一はおやすみ、と呟き、触れるだけのキスをしたまま目を閉じた。
もう、このまま彼に溶けてしまいたい。
そんなことを思いながら、私もゆっくりと目を閉じた。
同じ夢を、一緒に見る方法
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