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□ようこそ、ゲルテナの世界へ
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――思い出して。
――造られた薔薇(命)じゃない、
――本物の薔薇(命)を持っていたあの頃を。
「いやぁぁあああああああああ!!!」
燃え上がる絵画。
連動して火に包まれるメアリーの悲鳴が空間を切り裂いて響き渡っていく。
動きを止めたイヴとギャリーに近寄って、アイは自分の薔薇を二人の目の前へと差し出し、こういった。
「思い出して…やさしい心を、生きていたころのあなたたちを…!」
アイが差し出した薔薇はイヴとギャリーの中へと溶け込むように消えてゆき…
世界は、すべて
絵空事
となった。
とある日の美術館。
「…あ、お母さん、見えたわ!」
「コラ、大きな声を出さないって約束したでしょ?」
「まぁまぁ、いいじゃない。」
「…でも、」
「大丈夫よ。…ほら、行きましょう。」
昼下がりのとある晴れた日のこと…
そんなはじまりが、再び訪れる。