Heaven's Lost Property
□The_Homework
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ミーンミンミンミーン
「むっか……、つくな〜」
夏の熱気に支配された智樹の家の部屋。そこにはいつもの五人の姿があった。
「なにが?」
『はーい。夏「休み」なのにクソッたれな課題があること』
「はーい。夏「休み」なのにたった一ヶ月程度しか休みがないことでーす」
「いや、輝のはいいとして。咲はなんだよ……。あとアレ、数学の竹原の宿題」
数学の竹原とは、サ〇エさんのなみへいみたいな教師だ。春原は彼をツルツルと呼ぶ。容赦なく呼ぶ。これでわかるだろう、何故「なみへいみたいな」なのかが。
智樹がむかつくと言うのも当然とも言える。何故ならば、竹原の出す問題は、中二の天神達に解けるような問題ではないのだ。
「――そいで『なんだキミたちはこんな問題も解けないのかね?』とか言いやがるんだぜ!? むっかーっっ!!」
「いやー……、ダメだ。わたしには全然わかんないや」
意地でも解く! と騒ぎ出した智樹だが、実際解けるはずもない。
「でも………、問題文の意味すらわかんないんだけど……。トモちゃんわかるの?」
「バカだな。そはらにわかんないものが俺にわかるわけないだろ? 考えてもの言えよ」
「…………」
グシャッ!
「にゅ〜ん。いっくんわかる〜?」
『……、これベクトルだろ? 確か数B。普通のなら解んだけど……、これはレベル違い過ぎですかねぇ』
「………、そっか。問題文は、わかるんだ」
ちなみに、天神と春原が話している最中に、グシャッ! と音がしていたのは気にしないでほしい。ご察しの通りですので。
「そうだ!! 守形先輩ならわかるかも!!」
「お〜そうだね。うん。それじゃ行こっか、善は急げだよ〜」
――*――