Heaven's Lost Property
□Someone_elegy
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『……クソッたれ』
彼は走っていた。
ひたすら走っていた。
待てェェェぇぇええええ!!!!
たくさんの人の叫び声が天神輝に向けられていた。
パンッ!パンッ! と乾いた音が暗闇に響き渡る。その音が鳴る度に天神は姿勢を低くしていた。
『ああ、もう!! 一体全体何なんですか!!』
彼を追う影達の手には、黒光りし、重量感が感じられる物が握られている。
待てェェェぇぇええええ!!!!
『…………めんどくせぇ。………めんどくせぇ! テメェらいい加減鬱陶しいんだよォォォぉぉぉおおおおお!!!!!!』
花火の音にその声が掻き消されながら、天神は暗闇を駆け回る。
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#06 『Someone_elegy』 START