Heaven's Lost Property
□Made_Homeless
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「銀杏ごはんか……。もう、すぐに冬が来るなぁ……」
『てめぇ……、潰すぞ……』
「…………。お前、雪って知ってるか? 雪!!」
「ゆき…?」
「白くてすっげぇ冷たいんだ……。あー今年も冬がくるなぁ……」
その前に住む所を……何とかしなくては…!!
―――前回のあらすじ
智樹が男の器を見せたら家がふっとんだ
「チュドォオンッ!」とふっとんだ
ついでに天神の家もふっとんだ
完全無欠にとばっちりでふっとんだ
で、現在宿無し
今は天神の家の敷地には、輝とイカロス、智樹の三人がいる。
智樹は食材が無いから、なんとかイカロスに縋ることによりご飯を食べていたのだ。
「あの……、輝さん?」
『あぁん?』
「まだ怒ってます?」
『しつけぇなぁ……。マジで潰しますよ? 怒ってねぇから。ンなもんお前はあんま悪くねぇし……』
天神は深い深いため息を一つついた。嫌な予感といっても、ここまでの不幸が舞い落ちてくるとは思ってもいなかった。ていうか、これを予想できる人なんているはずが無い。いるのなら、素晴らしい素敵想像力の持ち主として拍手してあげたい。
『つぅか生きてたんだな、そのニワトリ』
天神はイカロスの頭に乗っている、すっかり大きくなったニワトリを見ながらそう呟いた。
「はい。奇跡的に救出できたので…」
『そっか、よかった』と言った。
天神にとってニワトリ自体は、はっきり言うとどうでもいい。重要なのはそのその存在だ。そのニワトリはイカロスのお気に入りだから、その存在がなくなってイカロスが傷つくことがなくて。といったところだ。
「なぁ輝。家、どうしよっか…」
『どうすっかなぁ……。夢みたいに直ればいいんだけど…、そうもいかないしなぁ』
「ん〜〜。そうだ」
そう言うと、智樹は携帯電話を取り出してどこかへと電話をかけた。
「あ。守形先輩っスか!? 突然でアレなんスけど……。しばらく泊めてもらえないっスかねぇ……」
《別にかまわんが…》
「え。マジ!? やった!!」
『え゛?』
《………油断するなよ?》
「へ?」
物語が始まってほんの少し。なんだかもうすでにダメなルートに直行しているような、そんな嫌な予感に襲われた天神であった。
#08 『Made_Homeless』 START.
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