落乱(小説)

□麻痺
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あれから、どのくらい経ったかな…

父さん母さん、村の皆 全てを失った事
昨日の事みたいに思い出せるし 昔の事みたいにも感じる

あれから
盗み 殺し 焼け釘集め
とにかく思い付くのは何でもやった
町へ出て仕事を探そうとしたけど、俺みたいな子供は門前払いで相手にもされない
だったら、銭を手に入れるには 悪い事だと思ってもやるしかない

殺しは…何人やったっけ
戦してる奴らなんてのは人じゃないから 罪悪感なんて全くわいてこなかった
俺から全てを奪った
当然の報いだ

あいつらは、俺が子供だと見ると油断する
その隙に 罠にはめ 急所を狙えば運が良ければ一撃で仕留められる

盗みは町へ出て スリをすればいい

けど、それだけじゃ銭は足りない

でも銭になる割りの良いバイトを見つけた
この前町へ出た時 男に声をかけられた
「一回いくら?」
最初は 全く何の事か分からなかったんだけど
話を聞いたら 1日一緒にいるだけでタダで飯もご馳走してくれて銭もくれると言われて付いて行った

まぁ、美味い話にはそれなりに裏があるわけだけど
俺の身体を提供するだけで銭にもなる
思ってた以上に銭もくれたし久しぶりの暖かい布団で寝れたし美味い物も食べれたから文句なんてない
まぁ、腰とあそこが暫くズクズク痛かったのが大変だったけど

むしろ 俺ってどうやら自分では分からなかったけど見目が良いらしい
自分の身体が売り物になるなんて知らなかったし
何より他の事するより稼ぎがいい

たまに 危ない趣味の客もくるけど そういう客だと金も弾んでくれる

人は必ず裏切るけど
銭は俺を裏切らない
貯まった分だけ幸せをくれる
もっと銭が必要だ
銭を手にしたときだけ心が落ち着くから
銭は俺の精神安定剤なのかもしれない…

(さぁ、今日も銭を稼ごうか)

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