落乱(小説)

□ナメさんも好き!君も好き!
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「きり丸の女装は忍術学園で一番かわいいよ」
騒がしかった1年は組の教室がその言葉で一瞬にして静かになった。
「ん?何だよ、喜三太 どうかしたの」
「ううん。なめちゃんも好きだけど、きり丸も同じくらい大好きだよ」
にこにこと邪気のない笑顔できり丸に話しかける喜三太に、全員の視線が集中する
とはいえ、1年生と言っても忍者のたまご(忍たま)である。
一瞬静かになったものの、また騒がしく会話をはじめる。
だが、その耳はといえば きり丸と喜三太の会話を聞くのに必死である。
(喜三太・・・お前、何言ってんだよ!今までそんな素振りひとつもしてなかったのに。きり丸狙いだったのかよ)←団蔵心の声
(やっぱり、喜三太の無邪気さは裏の顔を隠す為だったのか・・・。)←兵太夫心の声
(僕だって言った事ないのに!きりちゃんの女装が一番かわいいなんて僕が一番知ってるよ)←乱太郎心の声
「俺も喜三太、好きだぜ。でも、なめくじと一緒っていうのが喜三太らしいよな」
(ひ、酷い、きり丸!俺が言ったら絶対「何言ってんだよ、バカ旦那」って言って絶対叩くのに。喜三太だと何でそんなに笑顔なんだよー!)←団蔵心の声
「えへへ」
その言葉を聞いて喜三太は少し照れ笑いを浮かべた
「でも、本当はね!きり丸の女装もかわいくて好きだけど、女装してなくても大好きだよ」
(同室の僕にはそんな事今まで一言も言わなかったのに!・・・でも、そういえば前に きり丸って格好いいよね って言ってたっけ。。。でも、僕だってきり丸が好きなのに!!!)←金吾心の声
そんな会話に最初に耐えられなくなったのは、やはり団蔵だった
「ぼ、僕もきり丸が大好きだよ!きり丸の小銭が大好きなとことか、ドケチなとことか口が悪いとことか・・・」
“ボカッ”
「い、痛い−!酷いよ、きり丸ぅ」
叩かれた頭を押さえながら涙目で、きり丸を見る団蔵に1年は組一同が「自業自得」と思ったのはいうまでもない
「それにしても、本当にどうしたの?喜三太 いきなり、きりちゃんにそんな事いうなんて」
乱太郎が心の奥の黒いものを隠していつもの様に、笑顔で喜三太に声をかけてくる
(乱太郎、その気持ちはわかるけど!黒いオーラがにじみ出てるよ〜。まぁ、僕も同じ気持ちだから止めないけどね)←庄左衛門心の声
「はにゃ?」
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