落乱(小説)

□とある休日
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「きり丸、今度の休みのバイトはもう入れたのか?」そう言って声をかけてきたのは、図書委員の先輩である不破雷蔵先輩。、、、ではなく、雷蔵先輩に扮する鉢屋三郎先輩。三郎先輩は、自分の顔を見せることはなく普段は親友である雷蔵先輩の顔で生活している。
「反物売りのバイトに犬の散歩。それから、子守のバイト入れてました」
「そうか。相変わらずだな」
、、、最近の三郎先輩は少し雰囲気が柔らかい。と、言っても凄く優しくなったとかではなくなんて言うんだろう。
憑き物が落ちて、気持ちに余裕のようなものを感じる。と、いうのかな。
「どうかしたんですか?」
「バイトが終わってから、付き合って欲しいところがあってな」
「うーん。午前中は子守のバイトと犬の散歩で、午後が反物売りなんで。反物は、かなり引き受けちゃったんで、売るのに時間かかりそうなんですよね。だから、厳しいっすね」
すいません。と、謝ると三郎は少し考えた素振りをしてから口を開いた
「それなら、私が反物売りの方を午前にやっておこう。それなら、午後は空いてるだろ?」
「それなら大丈夫ですけど。三郎先輩の用事って?」
「私の実家へ来てくれ」
なぜ、俺が三郎先輩の実家へ行くのか?不思議に思いつつとりあえず、頷いた。
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