落乱(小説)

□闇の中の…(土井+きり丸)完 3ページ
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「にゃー」
ふと、横を見ると体をすり寄せ じゃれついてくる子猫が一匹
喉を触るとごろごろと気持ち良さそうにする
「お前、どこから来たんだ?」
そう言っても所詮は猫
答える訳もない
「お前も誰もいないのか?」
そうやって抱き抱えても猫は嫌がる気配もない
余程、人になれているのかそれとも、気に入られたのか
どのくらいそうしていただろう
抱いていた猫が耳をピンとさせ
茂みの方に顔を向けた
「にゃぁ」
か細い猫の声が聞こえてきた どうやら迎えにきたらしい
抱いていた子猫は きり丸を見て鳴いた
もしかしたら、きり丸も一緒に来いと言っているのかもしれない
「俺は大丈夫だから、ほらお行き」
笑顔で言うと 猫はぴょんと下りて 振り返って また一声あげた
猫の姿が見えなくなりまた静寂が戻ってきた
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