落乱(小説)

□家族
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「る…きり丸!おーい」
「!?お帰りなさい。半助さん。いつ帰ってきたんすか」
と、いうと 土井がため息を吐ききり丸の頭にポンと手を乗せ 撫でる
「さっき、帰ってきたんだがな。お前が晩飯を作りながら、ボケッとしてたから声をかけたんだ」
「すんません。でも、作り終わったんで食べましょ」食べながらも きり丸はぼーっとしていた
「どうした、考え事か?知恵熱が出るぞ」
「半助さん、今や学園一の成績を誇る俺が知恵熱なんて起こすはずないっすよ!大丈夫です」
意地悪気な笑顔で言う土井に、きり丸は子供っぽく頬を膨らませ上目遣いで反論する
それより、お土産の団子食べましょ。と、言ってお茶を注ぎ土井の買ってきた団子と今日貰ってきた大福を出す。
「ここの団子、美味しいって評判なんですよ!並ばないと買えないのに、よく買えましたね」
「仕事へ行く前に時間があったから、立ち寄ったんだ。」
顔を真っ赤にして俯く土井を見て きり丸は思わず笑顔になる
合点がいった…
今日、土井は仕事へ行くべく家を出た(臨時の打ち合わせがあったらしい)。予定より随分と早く行くんだなと思い不思議には思っていたが、この団子を買う為だったらしい。そういえば、昨日の夜バイトから帰ってきた時に美味しい団子屋が学園の近くに出来たというのをバイト先の客に聞いたという話しをしたばかりだった。
「俺、半助さんのそういうとこ大好きです」
と、ウインクしていう きり丸に 土井は照れ隠しの為に 早く食べなさい!と、怒鳴る
「全く、お前は昔から口は達者だったが成長するにつれ更に磨きが掛かってきて…」
「嘘はついてないですよ。それにこれくらいじゃないと、売れる物も売れないっすから♪ぁ、美味しい!半助さん、これも美味しいですよ」
と、食べ掛けのお団子を土井の口に入れた
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