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□君の幻影
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薄暗い部屋の中。
闇に包まれる室内には、テーブルの上の小さな明かりだけが灯っている。
その明かりに照らされる、二つの影。
自分の腕の中で甘美な声をあげ、果てていく女の体を、明かりが照らし出す。
張りのある胸に、つややかな髪。
健康的な女の体。
何も問題なんてない。
でも。
「……」
女の体に舌を這わせながら、ハイアはうっすらと目をあけた。
「ハイア…ッ!!!」
女が自分の名を呼ぶ。
それに答えるようにして、己の欲を吐き出す。
これが日常的な景色。
日常的な行為。
毎日が同じように過ぎていく。
違っているものといえば、抱く女が日ごとに違っているということだけかもしれない。
「……」
果ててそのまま眠りについてしまった女の体をベッドの上に寝かせると、下をはいてベルトを閉める。
そうしてそのまま近くにあった椅子に腰を下ろした。
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