名もなきお伽話 文
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―ガチャッ……―
…扉が音をたてて開く。
「待たせたな。」
そう言って入ってきたのはカインだけで、
アベルとアカネは何故か居なかった。
「…2人は……?」
そう私が聞くと、
カインはちょっと困った様に眉を顰めて、
私にこう言った。
「……アベルは今アカネに叱られているんだ。
暫く2人は来れそうにない。」
…私はなんだか無性に寂しくなってしまった。
「…そんな顔をするな。」
―ふわっ……―
…カインが私の居るベッドに腰掛ける。
「もう一生会えない訳じゃあない。
また会えるんだ、だからそんなに悲しそうな顔をするな。」
そう言ってカインは
困った様に眉を顰めて笑った。
「……………そっか………。」
…そうだよね、また会えるんだよね!
私はパッと顔を上げた。