短編
□ラブコール
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間抜けな声を出す私。
なんなの、こいつ。
一体なんなの。
『…いや、分かってる。
俺がこんな事を言えた立場じゃないって事を。』
「…分かってるんだったら
電話をしなきゃいいじゃない。
じゃあ私は明日までの宿題が残ってるから
切るね―――」
『待って!!!』
「――………」
電話越しの声のはずなのに、
その海人の声にびくりと体がはねる私。
『…待てっての、梨香……。
…俺の話を聞いてくれ………!』
…その余りにも必死で
何かを私に訴えかけようとする声に
罪悪感が芽生える私。
「…5分。
5分たったら切るから。」
『……!
ありがと、梨香……!』
海人が電話越しで
ニコリと笑った気がした。