幽閉少女 文

□幽閉少女の日常と非日常
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私にとって外の世界は、

行く事の出来ない夢の様な世界。


だって私は鎖によって縛られているのだから。

このお城に永遠に、

閉じ込められ続けているのが

私の運命。


あの時に、私は取引をしてしまったから。

あの時に、私は後先考えずに首を縦に振ってしまったから。


私は今でもよく思ってしまう。

あの時に首を縦になんか振らず、

そのまま死んでしまった方が

よっぽど楽だったのではないか・と。


―コツ、コツ、―


ほら、噂をすれば、

私を縛る鎖が来た。


鎖は私の扉の前で1回と止まり、

何回か扉をノックして

ゆっくりと扉を開けた。


「おはようサラ君、

 もう起きていたのかい?」


ニコリと笑うJ。

私は無表情のまま、ただ

淡々と述べた。


「……寝付きが悪かっただけ。」

「…道理で目の下に隈がある訳か。」


クスリと小さく笑うJ。

私はそんなJから静かに視線をそらし、

私の部屋にある唯一の窓の方を見た。


このお城の外には

広大な森が広がっている。

噂によると、

この窓から見回せられる土地は全て

Jの物だとか。


こんな山奥に滅多に人なんて現れない。

現れたとしても、

私はこのお城から外に出られない為に

この窓からソッと見る事しかできない。


その不甲斐なさが本当に悔しい。

私はギュっと拳を握った。



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