昔々ある所に、
とても可愛らし女の子が居ました
１人の下僕と１人の兄、
いつも暴力をふるう姉と自分を毛嫌いする両親
女の子は‘愛’に飢えていました
女の子は‘愛’を欲していました
その願いが叶ったのか、
ある日目を覚ましたら
女の子は見知らぬ土地の、見知らぬお城の中に居ました
３人の皇子と１人の姫、そしてその国を治める王様
彼らは女の子に‘愛’を与え、
女の子を‘愛’しました
その時既にもう、その女の子は
お城に来る前の記憶を
全て無くしてしまっていました
見知らぬ土地へ来た時に、
１人の皇子によって
記憶を消されてしまったのです
女の子の下僕と女の子の兄は、
女の子にとって大事な人でした
女の子はその２人の事を、
そして女の子の嫌いな実の姉と実の両親の事も、
全てを全て、
忘れてしまったのです
女の子は全てから解放されました
知らず知らず背負ってきた重荷が降ろされ、
解放感に酔いしれ、
女の子は天にも昇る気分でした
しかし、
女の子には‘何か’が足りないと
心に隅で思っていました
３人の皇子と１人の姫と
親代わりをしてくれている王様は、
皆女の子を‘愛’していました
しかし女の子はもう１つの‘愛’も
欲しかったのです
もう１つの‘愛’、それは―――――
―――――― 恋‘愛’感情の、‘愛’
……もう１つの‘愛’を欲する様になったその時から、
女の子の頭には
見ず知らずの男の子の姿が
頭をよぎる様になりました
顔もはっきりせず、
頭をよぎると言ってもほんの一瞬だけ
女の子は気にしない事にしました
しかし、
女の子はどうしてもその男の子に
興味を引かれてしまうのです
茶髪の少し外に跳ねた髪、
エメラルド色の瞳、
口元は優しく孤を描き、
穏やかな印象を持たせる様な男の子でした
実は、その男の子は
女の子の唯一の下僕の男の子でした
そう、女の子は記憶を無くす前、
女の子はその男の子に
‘恋’をしていたのです
しかし記憶を無くした今となっては
もう関係の無い事
自分が記憶を無くす前、
その男の子に恋をしていたとは知らず
その女の子は今日もお城で
平和に穏やかに過ごしていました
はたして２人の恋はどうなってしまうのでしょうか？
その恋は実るのでしょうか？
それとも―――………？
名もなきお伽話