封神†無双

□第一節 三國志の世界
1ページ/15ページ

《序章・劉備一行》





『‥‥‥』


よし、状況を確認しよう。
俺は元の世界に帰った筈だよな?
なのに‥‥‥



『何で目の前に荒野が広がってんだぁああああああああああああああっ!!!?』


だぁああああ‥‥
だぁあああ‥‥
だぁあああ‥

叫びは虚しく荒野に響く。

はぁ‥‥これで世界を越えるの何度目だよ?
いい加減に帰りてぇよ。

ここに居ても仕方ない。
適当に歩いて人を探すか。


「オイ!お前!!」


『あ?』


声のする方へ振り返る。
ソコには如何にもRPGに出てきそうな盗賊の格好をした奴等が居た。


「お前、良いもん着てるじゃねぇか。」

「死にたくなかったら身ぐるみ置いていきな!!」



『‥‥‥はぁ。』


良く分からない状況ではあるがピンチらしい。

仕方無いんで両手を上げて大人しくする。


「へへっ、物分かりが良い奴は嫌いじゃねぇぜ。」


『そりゃどうも。』


いつもなら問答無用でボコボコにするが、相手の数は多いし手には剣を携えてるから大人しくしておく。


「お、良く見りゃコイツ綺麗な面してるじゃねぇか。」

「こりゃ高く売れそうだ。」


あ゙〜〜 ヤメだ。
大人しくしてようかと思ったが我慢ならない。


「がっ!?」

「ぐあっ!?」


近付いてきた二人に蹴りを入れて吹き飛ばす。

が、



『あ‥あら?』


思っていたよりも吹き飛んでしまった。


「テメェ!?」

「殺っちまえ!!」


続けざまに剣を振るった奴の懐に入り顎を掌打で、
槍を突き刺そうとした奴の槍を奪い力任せに柄で叩き伏せる。


「なっ何だコイツ!?」


『疾ッ!!』


次の奴は首に蹴りを入れた勢いで飛び上がりそのまま落下の勢いをつけ別の奴に踵落としを決める。



「ひっ!?」


『後はお前だけだな?』


震え立ちすくむ盗賊に拾った剣を突き付ける。


「こ、殺さないで‥」


『殺しはしない。
ここいらで一番近い町は何処だ?』

「こ、ここから東に行けば村があります‥」


『そうかい。』


盗賊に背を向け歩き出す。


「‥し、死ねぇえええっ!!」


『ふっ!!』


斬りかかって来た盗賊の剣の腹を回し蹴りで弾き飛ばし、そのまま回転して腹に蹴りを入れる。


「ぐぁあああっ!?」


吹き飛んだ盗賊はどうやら気絶したようだ。



『ったく、大人しくしてりゃ痛い目みないで済んだのにな。』


にしても‥
やけに身体が軽い。
この世界に来てからそう感じる。



『ま、気にしても仕方無いし村を目指すか。』


方角が分からないので指先を切って血を使い方位磁石を創って村を目指した。





歩くこと約二時間。
漸く村にたどり着いた。



『‥‥腹へったな。
なにか食べるか。』


適当に料理屋らしき店に入り料理を注文する。


「へいお待ち!」


目の前には炒飯と餃子。
歩き疲れた事もあり、あっという間に食べ終えた。


「お客さん珍しい服装だね。何処から来たんだい?」


『あ〜‥旅をしていてな。
実はこの国に来たばかりなんだ。』

「異国の人かい。」


『ああ、良ければこの国の事を教えてくれないか?』


店員に聞いた話。
それで俺が何処に居るかが解った。
そして‥今回の世界は今までとは違う点があった。


場所は幽州啄郡。
時代は漢。
‥‥中国の過去に跳んだみたいだ。

タイムスリップまでするとは思わなかった‥‥


食後の茶を啜っていると何やら外が騒がしい。


「こ、黄巾党が攻めてきたぞぉおおおおおっ!!」



『‥はて?
何処かで聞いたような‥』

「やべぇ!?お客さん早く逃げねぇと!!」


『ん〜‥黄巾党って賊の集まりだよな?』

「何当たり前の事言ってるんだ!!逃げねぇと殺されちまうぞ!!」


あぁ、思い出した。
黄巾党って言えば三國志に出てくる盗賊集団の名前じゃんか。


‥‥‥ゑ?
三國志‥‥?マジで?



『ここは‥‥
‥‥‥三國志の世界か。』






『さて‥と‥‥』


目の前には約30人程の武装した集団が見える。
どいつもこいつも血走った目で如何にも餓えていますと言わんばかりだ。



『はぁ‥面倒だ。』


事は数分前。



「早く逃げねぇと殺されちまうぞ!!」


『‥‥なぁ、俺が賊を倒したら飯代をロハにしてくれよ。』

「アンタ何言ってんだ!?」


『腕っぷしには自信があるんだ。』

「そんなの無理に決まってんだろ!?」


『じゃ、結果で示そうか。』


で、今に至る。



『‥‥言うんじゃ無かったよ。』


だが、言った手前やるしかないよな。


「村の前に誰か居ますぜ!!」


「数は?」

「1人でさ!」


「はんっ、行き掛けの駄賃だ殺っちまえ!!」


雄叫びを上げて武器を構えて突っ込んで来る黄巾党。



『さぁ!行こうか!!』



兎に角ボコした。
徹底的に暴れた。
蹴り、突き、投げ、手当たり次第に倒した。



「ヒィィっ!?
な‥何なんだお前は!?」


『通りすがりの旅人だ。』


世界を渡る‥な。



『命が惜しけりゃ2度とこの村に近付くな!!
次は‥‥命を貰う。』


「ひいぃぃぃぃっ!?」


一目散に逃げていく頭。

ま、無用な殺しは願い下げだがな。


「す、すげぇ‥あの姉ぇちゃん1人で奴等をやっつけちまった!!」

村人が歓声を上げる。



『今、姉ぇちゃんって言った奴出て来いやゴラァッ!!
俺は男だぁああああっ!!』


そこだけは譲れない。
絶対にだ!!



店長
「いやぁアンタ強いな!
約束通り飯代はタダにさせて貰うよ。」


よっし!!
内心ガッツポーズ


店長
「それとコレはほんのお礼だ。」


『いいのか?』


手渡されたのは肉まんや干し肉といった食料だった。
ざっと三日分くらいある。


店長
「構いはしないよ。
旅をしてるなら必要だろ?」


『助かる。』



この世界でするべき事を見つけてさっさと元の世界に帰らないとな。



『この近くに他の村はあるかい?』

店長
「ああ、ここから北に真っ直ぐ進めばあるぞ。」


『そうか、それじゃあな。』


次の村を目指し歩き出す。


店長
「なぁ!アンタ名前は?」


少し考えて俺はこう答えた



『‥那咤だ。覚えておけ。』
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ