東方欠落夢

□第二章 永遠と人と‥
1ページ/29ページ


『‥‥‥‥‥‥』


目を覚ます‥
始めに見えたのは天井。
だが知らない天井だ。
紅魔館は洋館‥だが、今居るこの場所は和風の造りになっている。



『何処だここ‥‥』


部屋には質素なベッドと机のみ‥机の上には水差しとコップがあった。
取り敢えず喉が乾いているので飲ませてもらう。

ガチャリ‥ドアが開けられ誰か入ってくる。


「あら、気が付いたのね‥」


『アンタはいつぞやの‥』

「名前わすれちゃった?
永琳よ。八意 永琳。」


八意 永琳。
以前レミリアと闘った折に治療をしてくれた薬師。



『恩人の名前を忘れる程薄情じゃあ無いつもりだ。
‥だが、ここは一体何処だ?何故俺はここに…』

永琳
「重傷だから来てくれってメイドに呼ばれてね。
診たらボロボロだったから永遠亭に入院して貰う事になったのよ。
彼女達とても心配してたわよ?」


『‥そうか。』


心配かけたのか‥
早いとこ会って謝らないといけねぇな‥‥


永琳
「しかし貴方は瀕死の重傷ばかりね‥
筋肉断裂、大量失血、骨折に折れた骨が肺に刺さっていたし‥
聞けば腕を吹き飛ばされたらしいわね?
自分で治したみたいだけれど‥‥」


生きてる事が奇跡的よ。
そうは言うが生きていられるのは永琳の腕が良いからだと思う。
俺がやったのは左腕の復元だけだ。



『ありがとう永琳。
これで2回目だ‥助けられたのは。』

永琳
「ふふっ‥‥‥
貴方の身体はやはり人間とは違ったわ。
貴方‥一体何者なのかしらね?」


『‥自分でもよく解ってねぇんだ。
解ってるのは元人間で変な能力を持っちまったって事だけだ‥‥』

永琳
「折角だからこの際調べさせて。
徹底的に研究するから。
ねっ?ねっ?」


言いながら顔を近付け迫ってくる。
現在の俺はベッドから動ける状態じゃねぇ‥
つまり回避不可!?



『のぉおおおっ!?
止めろっニヤニヤしながらメスを持ってこっちに来るなぁああああっ!?』


ガチャリ‥と扉が開きまた誰か入って来た。
それは‥


咲夜
「一体翔に何をしてるのかしら?薬師‥」


『さ‥さっきゅん!!
助かったあぁぁ‥‥』

咲夜
「次にそのふざけた名前で呼んだら刺すわよ?」


首筋にナイフを突き付けられる。



『‥‥ヤ、ヤーッ。』


何故か外国映画の軍人みたいな返事をしてしまった。


永琳
チッ‥顔を紅くしても可愛いだけよ。
ねぇ翔君?」


ナイフにしか目が行ってなかったが、咲夜の顔は確かに紅く染まっていた。
はて‥?



『ふむ‥確かにクールな咲夜とは違って可愛いく見えるな。』

咲夜
「な!?/////」


『あの‥取り敢えずナイフを首筋に当てるの止めてくれませんか?
痛い痛い痛い痛いっ!?
刺さった!?
刺さったよさっきゅん!?』

咲夜
「死ねぇええッ!!/////」



暗転‥

まぁ何だ‥おちょくりすぎたな。うん。
頸動脈をバッサリいかれて血の噴水の出来上がり。
永琳が居なけりゃ逝ってたな‥マジで。
気をきかせてくれたのか永琳は部屋から出てくれた。



咲夜
「───────って聞いてるの翔?」


『ああ、聞いてるよ。』


咲夜から紅魔館の現状をおおまかに聞いた。
あれから1週間経っておりレミリアの傷は治り、
紅魔館の修復は進んでいるそうだ。
肝心のフランドールはというと、どうやら何も覚えていなかったらしい‥
あの影の事を美鈴とレミリアは気付いていたらしが‥‥
奴は一体何だったのかはもう解らない。
俺の能力で消してしまったからな‥



『けど、フランが元に戻って良かったよ。』

咲夜
「えぇ‥お嬢様も感謝していたわ。」


『アイツに礼を言われた時はありえねぇとか思ったけどな。』

咲夜
「じゃあそろそろ戻るわね。
身体が治ったらまた来なさい。
ご馳走を用意するから。」


『マジでか!?よっしゃぁ!
咲夜の料理マジで旨いからな♪』

咲夜
「じ、じゃあね。ゆっくり養生しなさいよね////」


いつもの様に消えて居なくなった。
普通に帰ればいいのに‥



『ふぅ‥流石に今回はヤバかったな。』

永琳
「ならもう少し身体を大切にする事をお勧めするわ。」


『ぬぉっ!?』

永琳
「あら酷いわ‥そんなに驚かなくても。」


だったら気配を殺して現れるなよ‥
ふと永琳の隣に誰か居た。
薄紫がかった銀髪に現代の女学生が着るような制服所謂ブレザーに身を包んだ少女が。



『永琳、その娘は?』

永琳
「この娘は私の弟子で名前は‥」

「鈴仙・優曇華院・イナバと言います。」


鈴仙・うど‥うどん?
まぁ名前よりも気になった事があるんだよ。


鈴仙
「ちょっと!?
くすぐったいですぅ////」


彼女の頭に付いているモノウサ耳をさわさわしてみたんだが‥本物?


永琳
「貴方‥手が早いわね。
流石紅魔館の連中を射止めただけはあるわ。」


『違うわっ!?
誰だって目の前にウサ耳美少女が現れたら耳を触りたくなるだろうが!?』

鈴仙
「ぁ‥ん‥び美少女!?
私がですか!?////」

永琳
「まぁ良いわそういうことにしてあげる。」

鈴仙
「んんんっ‥あのっ‥そろそろ離して‥下さいぃ‥‥」


おっといけねぇ。
触りっぱなしだった。
いゃあ暖かいしピクピク動いてるもんだからつい和んでそのままだったわ。



『悪ぃ悪ぃ。つい‥な。』


永琳の背中に隠れて睨んでくる。
あらら‥嫌われたかな


永琳
「暫く貴方の世話役をしてもらうから。
じゃ後の事は宜しくね。」

鈴仙
「うぅ‥わかりました師匠ぅ‥‥」


『え〜と‥
‥宜しく頼むわ鈴仙。』


コクりと頷き部屋を出ていってしまった。
はぁ‥やっちまった


永琳
「気にしないで良いわよ。
あの娘、恥ずかしがってるだけだから。」


じゃあねと鈴仙に続き永琳も部屋を出ていく。

永遠亭‥か‥‥
さてさて何だか面倒な事が起こりそうな予感がするんだよなぁ‥








「むふふ‥何やら面白そうですねぇ。いいネタになりそうですよ♪」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ