そんな君に恋してる。

□あれはいつの日だろう
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多分、君は知らない
こんな僕の気持ちなんて。






「………」

只今、煩い群れを咬み殺したところ。
でも何故だろう、スッキリしない
寧ろ更にイライラが深まってる気がする。

中学1年生になって9ヶ月と二週間がたった雲雀恭弥様。

(まったく‥どいつもこいつも煩い、イラつく…)

トンファーに着いた血を拭き取りながらフラフラと学校へ向かう
一年生ながらも腕章には
“風紀”の文字。


とりあえず、仕方ない。
ほとんど群れを咬み殺してしまって相手が居ない。



、そんな時だった。

「狽、わああ!」
「…」

なに、このランドセル‥

「お、おまっ…」

煩い 咬み殺そうか、
でも弱い奴を倒したって微塵も楽しくない。
しかも相手はランドセル‥

「なんだよその「煩いよ、咬み殺されたいの?嫌なら消えてくれない?」

さあ、僕がおとなしい間に消えてくれ

「嫌だ!あんた血塗れじゃん!!どっか怪我したんだろ?俺バンドエードいっぱい持ってるから!!」


― どっか痛いトコ無いか?
心配そうに覗き込む大きな瞳
何時もなら苛立ち、直ぐに咬み殺すところなのに‥

(なに、この気持ち…)

不思議と先程までのイライラ


「…いや、いいよ…コレは弱い草食獣のだから」
「?草食、じゅう」
「まあ、これは貰っておくよ」
「え…一枚でいいのか?」
「うん」


なんとなく、欲しかった。
(別にバンドエードが好きなわけじゃない!)
ただ、なんとなく


「あ、そう言えば…君名前は?」
「俺?」
「…他に誰がいるの」
「あ、はは‥えっと佐藤千夏」
「……佐藤、千夏」



じゃあね、
そう言って背を向ける
後ろで何か言ってるが気にしない。


「あ、アンタ名前は!?」
― ピクリ

「………また、会うよ‥必ず。だからその時教えてあげる」



そう言って門を曲がる。
自然と漏れる笑み
根拠なんてないけれど、
何故だかまた会えるきがした

(佐藤千夏…)

その時はきっと、直ぐに訪れる。















『ねえ、今何時だと思ってるの?』
『9時25分です…』


…ほら、ね 会えた。
ただ一つ問題が……!!

(もしかしてこの子、僕の事忘れてる?)

なんだか、少しイラつく。
だから…だから……



『――― ちゅっ』



キスしてやった。
(クス…間抜け面)

百面相な佐藤をもう少し眺めていたかったけど、
ここはあえてアッサリと。

(これから、ね)

ジワジワと落としていこう
時間はかかっても君を…佐藤を。
― 覚悟しててよ?

この呟きは春の暖かい風のみが知っている。






そう、物語は始まったばかり!










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