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□いつの間にかの初日
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ギュッと抱きしめた枕を片手で奪われ、千鳥さんは私の頭の下に腕を入れてくれた。
丁寧に布団を掛け直し、リモコンで照明を消した。
間接照明も無かった。
窓から差し込む月明かりだけ。
「千鳥さん、」
私はその顔を見つめる。
よく見えないけど。
「ん?」
「真っ暗派なんですね。」
「少し明るい方がいい?」
「…暗い方がいいです。」
私は目を閉じた。
石鹸のいい匂いがする。
千鳥さんの体は温かい。お風呂から出たばかりなのかもしれない。
そうっと抱きしめられると、これで良かったんだ、と肩の力が抜け、私はすぐに眠ってしまった。
…眩しい。
ゆっくり目を開けると、光を遮る物が何も無い窓が目に入った。
「おはよう。」
ふと見上げるように顔を上げると、穏やかな表情の千鳥さんが居た。
「…おはようございます。」
夢じゃ無かったんだ。