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□雨宿り
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今日は青山さんとパトロールのため街に出かけていた。
一通り済ませると丁度お昼の時間だったので、私たちは最近出来たばかりのショッピングセンターで昼食にする事にした。
平日はお客さんも少ない。
スムーズに食事を済ませ、外に出ると雨が降り出していた。
入口で青山さんは空を見上げて何か考えているようだった。
傘を買ってきましょうか、と私が言おうとしたとき、青山さんは笑顔で言った。

「たまにはいいか。」
「え?」

青山さんは方向転換をして建物の中へ戻って行く。

「パトロールも終わったしな。この様子なら雨もすぐに止むだろう。一通り見て回れば、丁度いい。」

珍しい事もあるんだなー、と青山さんの顔を見上げる。
それに気づき、私の頭をぽんぽんと軽く叩いた。

「最近忙しくさせてしまっていたからな。」

一気に私の顔が熱くなる。
ど、どうしたんだろう…。
私が動揺している間に青山さんはどんどん歩いて行ってしまう。
慌てて追いつき、声を掛ける。

「どこに行くんですか?」

このショッピングセンターにはたくさんの専門店がある。
青山さんは立ち止まった。

「本屋へ行くつもりだが…一緒に来るか?」
「…一人で行動するつもりだったんですか?」

やっぱり青山さんはいつもの青山さんだったな、と思いながら…何だか力が抜けてしまった。
青山さんは私の言葉に驚いたのか、目を丸くした。
…けど、すぐに笑顔になった。

「…俺と一緒に居てくれるのなら、これ程嬉しい事は無い。」

うわわ…。
開いてしまった口を慌てて閉じる。
心臓に悪いセリフだなぁ…。
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