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□クリスマスの予定
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「黒峰さん、明日のパトロールなんですけど…。」

私は食堂でコーヒーを飲んでいる黒峰さんに声を掛けた。
思った通り、黒峰さんは不機嫌オーラ丸出しで私を睨む。

「…だから、俺をパトロールに誘うなって何回言わせるつもりだ。」
「仕事なんだから仕方ないじゃないですか!」

「誰があんなクソ寒い中、」
「でも、ほら、明日はクリスマスですから!街を歩くだけで楽しいですよ!!」

そう、明日はクリスマス!
こんな事でテンションが上がる黒峰さんじゃないけどさ。
案の定、興味無さそうに目を細めてサングラスの奥から私を見ている。

「だったら尚更だろ。俺と一緒でいいのかよ。」

「…仕事ですから。」
「…仕事ねぇ。」

黒峰さんはニヤリと笑った。

「予定とかあるんですか?」
「ああ。朝から晩まで。俺の体は一つなんだよ、持たねーよ。」

そんな答えに私は言葉を失った。

「お前も仕事なんて言ってないでイルミネーションでも見てこいよ。相手が居ないのか?」
「……黒峰さんとパトロールの予定でしたから。」

なんて言っていると、目頭が熱くなり、じわじわと涙が出てきた。
泣くなんて悔しいから我慢するけど、いわゆる半泣き状態で堪える。
なんとか笑ってみる。

「でも、馬鹿らしくなってきました。明日はクリスマスなのに、ヒーローって大変ですよね。」

あーあ、何やってんだろ。
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