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□どうして
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ここは青山さんの部屋。
と言っても遊びに来てる訳でもなく…いつものように私は青山さんの山のような仕事を手伝っていた。
真剣にモニターを見ていた私がふと顔を上げると、別のパソコンの前に座っていた青山さんは…寝ていた。
…珍しい!
時計に目を遣ると、既に日付が変わっていた。
青山さんは机に突っ伏して、それはもう気持ち良さそうに眠っている。
貴重だなぁ…もうちょっと見てたいなぁ…。
とりあえず毛布を掛けて、私は側にある椅子に移動した。
眼鏡は外さないのかな、とか。
体は痛くならないのかな、とか。
お腹は空いてないのかな、とか。
私は俯いた。

どうして好きな人の側に居られるのに、こんなに苦しいんだろう。

ずっと見ていたい顔を見ているのに、涙が出てくるんだろう。

ただ静かに涙を流していると、少し楽になる。
…もう少ししたら、自分の部屋に戻ろう。
ぱたぱた、と涙はスカートの上に落ちる。

「…大村。」

突然掛けられた声に驚き、私は素早く顔を上げ、立ち上がった。
青山さんは目を開けている。

「…あ、あの、」

この状況をどう説明したらいいのか。
とりあえず手の甲で涙を拭っていると、青山さんはゆっくりと起き上がった。

「君はいつもそうして泣いているのか?原因は何だ、私には話せないか?…やはり原因は、」

青山さんは口を閉じて言葉を飲み込んだ。
原因は、恋をしているからなのか?
そんな言葉、青山さんの口からは聞きたくない。
他の誰かの事を想って涙を流している訳じゃない。
けど、どれも言葉にはならない。
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