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□まだ認めたくない
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部屋の扉がノックされ、開けてみるとそこには黒峰さんが立っていた。
しかし私が口を開く前に、黒峰さんは突然抱きついてきた。

「わっ!な、なんですか!?」
「…理由が無きゃ、駄目かよ。」

そりゃそうでしょう。
けれどそんな事も言えずに黙ってしまった。
黒峰さんが目を合わせてくれなかったから。
ただ、何も言わずに私は目を閉じる。

「…嫌がらないんだな。」

黒峰さんは素早く体を離し、私の両肩を掴んだ。

「別の事、考えてねぇよな?」
「…別の事、ですか…?」

そして手も離れた。

「お前…最近好きな男、出来ただろ。」

「はい!?」

思いもよらない言葉に私は激しく首を横に振る。

「出来てません!何ですか!急に!!」
「顔に書いてあんだろ。」

「か、顔!?」

黒峰さんはその場にしゃがみ込み、俯いた。

「なあ、どうしてお前は嫌がらないんだ?俺にその男を重ね合わせてるのか?」

私は驚き、同じようにしゃがみ込んだ。

「黒峰さん、…どうしたんですか?何かあったんですか?」
「答えろよ。」

顔を上げてくれない。
私は胸に手を当て、話し出した。

「…好きなのかどうかはわかりません。でも黒峰さんに別の誰かを重ね合わせるなんて…、私は…。」

黒峰さんは私の顔をじっと見ていた。
その眉間に皺を寄せている。もの凄く怒ってる。

「私は…、黒峰さんが気になってるんです。なんだか凄く…興味があるというか、最近は黒峰さんの事しか考えられなくて、」

「…は?」

黒峰さんは目を丸くした。
思っていたのと違うらしい。
怒られなくて済むなら、いいや。
私はそのまま続ける。
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