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□贅沢な朝
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長い夜が明けた。
私は青山さんの部屋で仕事の手伝いをしていた。
なんとか終わってみると窓から朝日が差し込んでくるような時間。
更に、今日は赤木さんが楽しみにしていた出張ヒーローショーの仕事もある。
少しなら寝られそうだな…。何時に起きればいいんだろう。
ぼんやりと時計を見上げていると、青山さんが口を開いた。

「君の支度の時間を考えると一時間ほど…か。」
「…一時間ですか。」

確かに、朝の支度は時間が掛かるんだよね。眠いし。

「青山さんも寝ますか?」
「私は大丈夫だ。一晩寝なかったぐらいでどうにかなる体じゃない。」

…徹夜とか慣れてそうだよね。
私は机に額をくっつけた。

「私も起きてようかな…。」
「少しでもいいから寝た方がいい。」

「寝たら起きられない自信があります。」

そう答えると青山さんは何か考えているようだった。

「…では、これから支度をしてくるといい。そしてここで寝るのならば私が起こしてやろう。それなら二時間は寝られる。」
「え…?」

「私は起きているから、そこのベッドを使えばいい。…普段からあまり使っていないしな。」
「で、でも…、」

私は顔を上げ慌て始める。
しかし青山さんは眉間に皺を寄せていた。

「君の部屋に起こしに行く事はできないぞ。女性の部屋に黙って入れと言うのか?」
「男性の部屋で女性が寝るのもどうかと…。」

すると青山さんもそれに気がついたらしい。
首を傾げたが、小さく頷いた。

「…まあ、無理にとは言わないが。何度も言うが、私はデスクから動くつもりは無い。ヘッドホンを外す事も無いだろう。」

そう言って微笑んだ。
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