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□不機嫌
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私は今日の仕事内容をまとめたレポートを印刷して、一応教育係である黒峰さんに提出する為に廊下を走り回っていた。
どこにいるんだろ…。
食堂にも居なかったし…、あそこかな。
最短ルートで格納庫へ向かう。
しかし、綺麗に並んだカラーカーの他に人影は無かった。
方向転換して戻ろうとした時、隅の方に黒峰さんが居るのを見つけた。
壁に寄り掛かって床の上に座り込んでいる。
私はゆっくりと近づき、隣にしゃがみ込んだ。
「黒峰さん。…探しましたよ!」
「…何か用か。」
黒峰さんはこちらを見ずに答える。
「今日のレポートです。」
私が差し出した書類へちらっと視線を向け、溜息をついた。
「本当に真面目なヤツだな。…こんな所に持ってきてどうすんだ。」
「どうすればいいんですか…。」
「司令室にでも持って行けよ。誰か読んでくれるだろ。」
…誰か、って。
私は言い返す気も起きずに肩を落とした。
「…わかりました。置いてきますから…後で目を通しておいて下さい。」
そう言って私は立ち上がる。
「おい。」
「え?」
黒峰さんは座ったまま私を見上げる。
「いいからここに居ろ。」
「でも、」
「…寄越せ。」
黒峰さんは手を伸ばし、私の腕を掴むと、持っている書類を取り上げた。
「見てやるから…そこに座れ。」
私は言われた通りに黒峰さんの隣に座った。