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□バレンタインの準備
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早朝、私は黒峰さんに食堂へと呼び出された。
基地内どころか食堂にもほとんど人が居ない。
眩しい朝日に目を細めつつ、既に待っている黒峰さんのテーブルへと近づいて行った。
「おはようございます…。黒峰さんって本当に早起きですよね。」
「いいから座れ。」
黒峰さんはカップを置き、足元に置いてあった段ボール箱をテーブルの真ん中に置いた。
「これをどうにかしろ。」
「…なんですか、これ。」
しかし黒峰さんは何も言わないので、私は箱の蓋を開けてみた。
中には大量の…小箱。
それはどれも綺麗にラッピングされている…これは、どう見ても…。
「チョコレートですか?」
でも肝心のバレンタインデーは明日なのに。
黒峰さんは段ボール箱をぼすぼす叩く。
「明日に備えて空にしておけ。明日は…この倍は来る。」
「…何なんですか、その自信は…。」
何を馬鹿な事を言ってるのかと私は溜息をついた。
それでも黒峰さんは一方的に言い放った。
「手段は選ばない。任せた。」
そして立ち上がる。
「え、ちょっと黒峰さん!どうするんですか!!」
私の叫びも虚しく、黒峰さんは食堂を出て行ってしまった。
これ、どうしよう…。
あのまま食堂に置いておく訳にもいかず、とりあえず自分の部屋に持ち帰る。
黒峰さんへと渡された物を、私が食べる訳にはいかないし…。
ソファーに置いた段ボール箱の側面には、黒峰さんの名前が大きく書いてある。これは神谷さんの字だ。
名前の後に1と書いてあるって事は、2も3もあるんだろう。
まだバレンタインデーじゃないのにこの量って事は、黒峰さんが言ってた通り…本当に明日は凄い事になるのもしれない。