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□そういうところも、
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「無いなぁ…。」
小さな声で呟き、私は息をつく。
今日は千鳥さんに頼まれて、図書室で本を探している。
片手には千鳥さんから渡された本のリスト。
そこに書かれたのと同じタイトルの本を見つけ、本棚から取り出す。
これで何冊目かの本を机に積み、次の本を探す。
えーと、この本は…。
キョロキョロと棚を見渡すと、
…あった!
背伸びして何とか届きそうな高さに本が収まっている。
…なんて、そんな事どうして思ってしまったのか。
く…、届かない…。
真っ直ぐに伸ばした腕の先、手の先、指の先がぷるぷると震える。
「…駄目か。」
潔く諦めて、何か踏み台になりそうなものを探そうと腕を下ろす。
すると背後から影が覆い被さり、思わず目を見開いた。
え?
振り向く間も無く、後ろから腕が伸びてきて本を取ってくれた。
なんて優しくて、ときめくシチュエーション!
青山さんか九楽さんかな?と振り返る。
「…ありがとうございます、」
私は何度か瞬きをしてしまった。
「赤木さん?」
「これでよかったのか?」
赤木さんはにっこり笑って、本を渡してくれた。